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サイミンZ 廉価版

幻覚堂

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そこらじゅうでリア充行為全開の学園に通う時山輝 （ときやま ひかる） は、おどおどしていてまったく青春らしい青春を送ることができず、いつも悶々としていた。

ある日、輝は黄昏時に謎の人物と出会う。

影が人の形をとったような、面と向かっているはずなのになぜか顔を認識することのできない奇怪な相手。
その相手は指を伸ばし、輝の胸の中心を差した。

「ドン！」

胸の中心に大砲をくらったような衝撃を受け、輝は吹っ飛び転がる。

「お前ならば、できるかもしれん…… “Z”を……」

切れ切れの声が聞こえたが、よく分からないまま輝は失神した。

目を覚ました後、特に何かが変わっているわけでもなく、翌日もリア充学園に悶々とするばかり……だったのだが。

ドクン。　彼の胸の内で変な感覚が生まれる。
何か――いや、誰かが、謎の男に打ち抜かれて空いた穴の向こうからやってくる。

「よお」

と、そいつは話し掛けてきた。

「俺はお前さ。 お前がしたいことをしてやるもう一人のお前」

輝の身体が勝手に動き出し、クラスで一番かわいいと評判の女子に声を掛け、人気のない所へ連れ出すと額に指を突きつけた。

「ドン！」

それは、輝が影の男から受けたのと同じ行為だった。

女子はよろめき―― そして、目の光を失い立ち尽くす。

「さあ、好きなようにしな。 そいつはもうお前の操り人形だ」

新たな人生の始まりだった。